NEWS

新着情報

2025.10.17

ー外壁塗装の塗料種類を完全比較|選び方・相性・失敗しないポイントー

ー外壁塗装の塗料種類を完全比較|選び方・相性・失敗しないポイントー

 

外壁塗装の塗料は「樹脂×機能×工程」で考える

外壁塗装の塗料選びは、まず「樹脂グレード(耐久の軸)」を決め、次に「機能(遮熱・低汚染・弾性など)」を重ね、最後に「下塗り・中塗り・上塗り」の工程と相性を合わせると迷いません。価格だけで選ぶと足場の再設置回数が増え、長期コストが高くなりがちです。住まいの立地や外壁材、将来のメンテ計画に合う“総合力”で見極めましょう。

ここからは、代表的な樹脂の特徴と耐久目安、外壁材ごとの相性、機能性塗料の使いどころ、仕上がりに直結する艶・色・工程の考え方を順に解説します。専門用語はできるだけ平易にまとめ、初めてでも比較できる基準を用意しました。

代表的な樹脂グレード(耐久の目安と特徴)

・アクリル:初期費用は最安クラス。紫外線に弱く外壁には不向き。仮設物や短期の補修向け。
・ウレタン:密着と柔軟性に優れ付帯部で強み。外壁全面だとサイクル短く、足場コストが嵩みやすい。
・シリコン:バランス型。価格と耐久の折衷で標準的な選択。
・ラジカル制御型:チョーキングの原因“ラジカル”を抑制。シリコン帯で一段上の対候性。
・フッ素:高耐候で再塗装間隔を延ばしやすい。初期コストは高め。
・無機/無機ハイブリッド:最上位クラスの長寿命。硬くなりやすいので下地の動きが大きい部位は仕様確認が必須。

水性・溶剤/1液・2液の違い

・水性:においが控えめで環境配慮。乾燥条件(温度・湿度)に注意。
・溶剤:密着や乾燥の安定度が高い一方、においと換気計画が課題。
・1液:混合作業が不要で管理が容易。
・2液:硬化剤と主剤を混ぜて化学反応で硬化。耐久・密着で有利だが、現場管理の精度が必要。

外壁材との相性で変わる「下塗り」の重要度

上塗りの性能を発揮させるには、外壁材に応じた下塗り(プライマー/シーラー/フィラー)が不可欠です。素材ごとに吸い込みや動きが異なり、間違えると剝がれや早期劣化の原因になります。

ここでは主要な外壁材と相性のいい下塗り・上塗りの考え方をまとめます。細かな製品名は現場で選定しますが、判断の“方向性”を掴んでおくと見積書の比較がしやすくなります。

窯業系サイディング

・チョーキングや吸い込みが出やすいので、シーラーで密着確保。
・意匠サイディングはクリヤー塗装が選択肢。ただしチョーキングが進んだ面には不可。
・上塗りはラジカル・フッ素・無機が定番。

モルタル(リシン・吹付・左官)

・微細ひびに追従する微弾性フィラーが下塗りの定番。
・上塗りは弾性塗材やラジカル以上で耐久UP。艶を落とすと質感が活きます。

ALC(軽量気泡コンクリート)

・吸水しやすいので下塗りで含浸・防水性を高める。
・目地シーリングの健全化が前提。上塗りは高耐候+防水性重視。

金属サイディング・トタン・ガルバリウム

・ケレン(錆落とし)と防錆プライマーが生命線。
・熱変形を考慮し、日射の強い面は遮熱機能が有効。

機能性塗料の活かし方(遮熱・低汚染・弾性・クリヤー等)

同じ樹脂でも、機能の付加で住み心地や美観維持が大きく変わります。効果は“条件次第”なので、立地や色、外壁材の状態とセットで判断しましょう。

ここからは代表機能ごとに「効きやすい条件」「注意点」を簡潔に整理します。カタログの強い表現も、実環境に置き換えて見るのがコツです。

遮熱塗料

・日射反射で表面温度上昇を抑制。淡色ほど効果が出やすい。
・濃色は効果が鈍るため“遮熱下塗り+濃色上塗り”の組み合わせが現実解。
・屋根と同時施工で体感が出やすい。

低汚染・防藻防カビ

・親水性で雨だれが流れやすく、北面や樹木の近くで効果的。
・排気ガスの多い道路沿いは定期清掃も併用。

弾性・可とう型

・微細クラックに追従して雨水の浸入を抑制。
・高温域での熱ダレや汚れの抱き込みに注意。部位・色選びを慎重に。

クリヤー(透明仕上げ)

・サイディングの凹凸・柄を活かす。
・粉化(チョーキング)が進んだ面では密着不可のため、早期メンテが条件。UVカットタイプで色あせ抑制。

艶・色・面積効果―仕上がりの印象を決める要素

同じ“種類”の塗料でも、艶や色で仕上がりの雰囲気とメンテ性が変わります。見本帳の小片は実際より暗く・地味に見えがちで、屋外の大面積では明るく鮮やかに感じます。ワントーン落とす配色が安心です。

ここでは、艶グレードとメンテ性、色の選び方の要点を短くまとめます。最終判断はA4以上の塗板を屋外で確認し、晴れ・曇り・夕方の見え方を写真で比べると失敗が減ります。

艶あり・7分艶・5分艶・3分艶・艶消し

・艶あり:汚れが流れやすくメンテ性良好。光沢で“新築感”。
・半艶(5〜7分):ほどよい品と実用性。住宅地で最も無難。
・艶消し:素材感が出るが汚れが留まりやすい。外壁材・色と相談。

色選びの実務コツ

・白や黒の極端色は汚れ・退色・熱の課題が出やすい。
・中明度のグレージュやライトグレーは汚れ目立ちにくく、遮熱機能とも相性が良い。

価格と耐久の“生涯コスト”で比較する

見積りは「材料費」より「足場・手間・下地補修」の影響が大きいもの。10〜15年のスパンで総額を比較すると、初期コストの高い高耐候塗料がむしろ有利なケースも多いです。屋根・外壁・付帯を同時施工して足場を共有すれば、さらに効率的です。

ここでは、塗料種類の比較軸を整理します。製品名が違っても、樹脂グレード・機能・工程が並んでいれば公平に比べられます。

比較のチェックリスト

・樹脂グレード(シリコン/ラジカル/フッ素/無機)
・機能(遮熱・低汚染・弾性・クリヤー)
・水性/溶剤・1液/2液の仕様
・下塗りの種類(シーラー/フィラー)と素地適合性
・塗り回数(下1・中1・上1が基本)
・付帯部の塗料種と色統一の方針
・保証年数と定期点検の有無

ライフサイクルの考え方

・8〜10年サイクル×2回 vs. 12〜15年サイクル×1回で足場回数が変わる。
・近い将来にベランダ防水やシーリング打ち替え予定があるなら同時施工で足場を節約。

よくある疑問に短く答える(Q&A)

塗料の種類を絞り込むと、最後は現実的な運用や暮らし方の質問に行き着きます。ここでは相談の多いポイントを簡潔に整理しました。判断に迷ったら“住まいの写真+立地条件”を用意して業者に共有すると精度が上がります。

水性と溶剤はどちらが長持ち?

近年は水性でも高耐候品が増えました。長持ちの差は“水性/溶剤”よりも、樹脂グレード・下地処理・乾燥条件の厳守で決まることが多いです。

濃色でも遮熱は意味がある?

効果は淡色ほど大きいですが、遮熱下塗り+濃色上塗りの組み合わせで一定の抑制は可能。屋根と同時施工のほうが体感しやすいです。

クリヤーはいつ選ぶ?

意匠サイディングの柄を活かしたいとき。ただしチョーキングが出る前の早期施工が条件。劣化が進んでいれば通常塗装に切り替えます。

失敗しない塗料選定の進め方(実行ステップ)

最後に、見積依頼から決定までの“順番”をまとめます。順番を守るだけで情報整理が進み、業者間の提案比較がしやすくなります。家族内の合意形成にも役立つはずです。

ステップ

1. 現状診断:外壁材・劣化度・シーリング状態を写真と一緒に記録。
2. 目標設定:再塗装サイクル(何年持たせたいか)と優先機能(遮熱・低汚染など)を決める。
3. 候補抽出:樹脂グレードを2段階までに絞り、機能を重ねる。
4. 色・艶:A4塗板で屋外3条件(晴・曇・夕)確認、ワントーン落とす判断。
5. 仕様確定:下塗り種別、塗回数、付帯部塗料と色、保証年数を仕様書に明記。
6. 相見積比較:単価ではなく“同一仕様の総額”で比較。足場共用の同時施工案も評価。
7. 工事計画:春秋の施工枠確保、天候予備日、近隣配慮(あいさつ・飛散対策)を確認。

まとめ

「外壁塗装 塗料 種類」は選択肢が多いほど迷いますが、樹脂グレードを軸に、下地との相性と必要機能を重ね、色と艶を“屋外大判サンプル”で確かめれば失敗は大きく減ります。最後はライフサイクルで総額を比較し、屋根や付帯と同時に計画すること。見た目・耐久・費用のバランスがとれた一回で、次の10年を心地よく過ごせます。